79. 鈍刃

英題:The Swordsman

作曲:thus(2020-2021)
編曲:thus(2021)
Music by thus © 2021 thus

歌詞:thus(2021)
Lyrics by thus © 2021 thus

絵:thus(2021)
Art by thus © 2021 thus

動画:thus(2021)
―フォント:衡山毛筆フォント

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【 鈍刃 ( なまくらやいば ) 】

甲乙 ( こうおつ ) 付 ( つ ) け 征 ( ゆ ) く 旅 ( たび ) を 続 ( つづ ) ける 御鞘 ( みさや ) の 咄 ( はなし )
黒錆 ( くろさび ) 付 ( つ ) く 手 ( て ) が  管 ( くだ ) に 乗 ( の ) った 瓦落 ( がらく ) 吐瀉 ( としゃ )
無様 ( ぶざま ) に 為 ( な ) って 辛酸 ( しんさん ) を 舐 ( な ) め  鬮 ( たたかいと ) って 何某 ( なにがし ) かを 捨 ( す ) て
手練 ( てだ ) れに 為 ( な ) って 其 ( それ ) からは  無為 ( むい ) よ 無為 ( むい ) に 砥 ( と ) ぐ 業物 ( わざもの )

凋落 ( ちょうらく ) の 御供 ( おとも ) に 流離 ( さすら ) う  荒 ( あ ) れ 果 ( は ) つる 叢雲 ( むらくも ) の 屋中 ( やなか )
毀 ( こぼ ) れを 成 ( な ) さぬ 様 ( よう ) に  煮 ( に ) え 切 ( き ) らぬ 儘 ( まま ) の 錬磨 ( れんま ) に
九 ( あまた ) を 弋 ( と ) って 礼 ( れい ) をして  還 ( また ) 無慈悲 ( むじひ ) に 弋 ( と ) って 礼 ( れい ) をして
且 ( か ) つ 手練 ( てだ ) れであって 尚 ( なお ) の 事 ( こと )   構 ( かま ) え 構 ( かま ) え 況 ( いわん ) や 汝 ( うぬ ) をや

嫌 ( いや ) 、 嫌 ( いや ) 、って 曰 ( い ) う 言葉 ( ことば ) で
札 ( ふだ ) に 封 ( ふう ) し 曖 ( くら ) く 志 ( こころざ ) す
痛 ( いた ) い、 痛 ( いた ) い、って 曰 ( い ) う 言葉 ( ことば ) に
耳 ( みみ ) 塞 ( ふさ ) ぎ 丹盲 ( たんもう ) に 至 ( いた ) ったと

信 ( しん ) ずが 諸刃 ( もろは ) に 潤滑 ( じゅんかつ ) を 辷 ( すべ ) らせ
半月 ( はんげつ ) の 軌跡 ( きせき ) に 墨汁 ( ぼくじゅう ) を
滴 ( したた ) らす 漆 ( うるし ) の 刀身 ( とうしん ) を 振 ( ふ ) れど
帯 ( たい ) した 儘 ( まま ) に 汝 ( うぬ ) は 覇 ( は ) した

愛 ( あい ) せ 鈍 ( なまくら ) を 侘 ( わ ) び 寂 ( さ ) びとして
何 ( なに ) も 切 ( き ) れはせぬ 可能態 ( かのうたい ) を
すれば 予 ( われ ) は 君 ( きみ ) に 敗 ( ま ) くだろう
然 ( さ ) れど 為人 ( ひととなり ) 故 ( ゆえ )   其 ( それ ) で 善 ( い ) いのさ

愛 ( あい ) さる 想 ( おも ) いなど 知 ( し ) らぬが 我 ( われ ) は
情操 ( じょうそう ) が 茨 ( いばら ) の 断 ( た ) ち 切 ( き ) るを
取 ( と ) る 故 ( ゆえ ) に 此度 ( こたび ) ぞ 戡 ( か ) つだろう
だのに 華 ( はな ) 盛 ( さか ) る 汝 ( うぬ ) を 惶 ( おそ ) れているのは

天地 ( てんち ) の 差 ( さ ) 程 ( ほど ) の 量 ( ちから )   遠目 ( とおめ ) も 看取 ( みと ) りに 認 ( みと ) め
涅 ( くろ ) める 地 ( ち ) を 這 ( は ) う 不動 ( ふどう ) の 褥瘡 ( じょくそう ) に 礼 ( れい ) をし
宜 ( むべ ) なる 決戦 ( けっせん ) を 貪 ( むさぼ ) り  然 ( さ ) も 気怠 ( けだる ) い 決闘 ( けっとう ) 尸 ( つかさど ) り
持 ( も ) てた 不甲斐 ( ふがい ) の 仗 ( つわもの ) を 慰霊 ( いれい ) に 立 ( た ) てた、 其 ( それ ) は、 実 ( げ ) に 強 ( したた ) か

好 ( す ) き、 好 ( す ) き、って 云 ( い ) う 言葉 ( ことば ) は
惑 ( まど ) わせるだけのもの だから
好 ( す ) き、 好 ( す ) き、って 云 ( い ) う 言葉 ( ことば ) の
嫌悪感 ( けんおかん ) を 薙 ( な ) ぎ 祓 ( はら ) う 様 ( よう ) に

信 ( しん ) ぜる 諸刃 ( もろは ) の 鍔迫 ( つばぜ ) り 合 ( あ ) いより
幾許 ( いくばく ) の 剣戟 ( けんげき ) 搗 ( か ) ち 合 ( あ ) うも
其 ( そ ) が 度 ( たび ) に 我 ( われ ) は 強 ( つよ ) からずと
次 ( つぎ ) を 挫 ( くじ ) く 弱冠 ( じゃっかん ) に 汝 ( うぬ ) の 覇気 ( はき ) が

愛 ( あい ) せ 鈍 ( なまくら ) の 躊躇 ( ためら ) う 刃 ( やいば ) を
命 ( いのち ) 奪得 ( うばう ) るに 慄 ( おのの ) けるを
そして 予 ( われ ) は 君 ( きみ ) に 敗 ( ま ) くだろう
然 ( さ ) れど 為人 ( ひととなり ) 故 ( ゆえ )   惟 ( これ ) で 善 ( い ) いのさ

愛 ( あい ) さる 想 ( おも ) い 等 ( ら ) を 慄 ( おそ ) れる 我 ( われ ) は
情 ( じょう ) が 儘 ( まま ) 刃 ( やいば ) 打 ( う ) ち 戡 ( か ) たんと
故 ( ゆえ ) 我 ( われ ) は 容易 ( たやす ) く 獮 ( か ) り 弋 ( と ) るも
だのに 華 ( はな ) 散 ( ち ) らす 汝 ( うぬ ) の 哀愁 ( あいうれ ) いが

好 ( す ) き、 好 ( す ) き、って 言 ( い ) う 詞 ( ことば ) で
傷痍 ( しょうい ) から 紅 ( あか ) く 流 ( なが ) れたから
好 ( す ) き、 好 ( す ) き、って 言 ( い ) う 詞 ( ことば ) へ
血 ( ち ) が 通 ( かよ ) わざる 様 ( よう ) に 生 ( い ) きて 来 ( き ) たから
好 ( す ) き、 好 ( す ) き、って 言 ( い ) う 辞 ( ことば ) は
孤高 ( ここう ) を 狂 ( くる ) わし 卑 ( いや ) めて 了 ( しま ) うから
好 ( す ) き、 好 ( す ) き、の 丹 ( まごころ ) がもう
冷 ( ひ ) えた 血垢 ( ちあか ) に 錆 ( さ ) びて 浮 ( う ) かんだから

病 ( や ) んだ。 其等 ( それら ) を 離 ( か ) れりし 我 ( われ ) を。
生 ( い ) きまほしと 焦 ( こ ) げた 彼 ( あ ) の 嗄 ( しゃが ) れを。
実 ( げ ) に 我 ( われ ) ぞ 獣 ( けだもの ) 化 ( ば ) けたると
于 ( ここ ) に 悔 ( く ) い 縋 ( すが ) り 倦 ( あぐ ) ぬ 君 ( きみ ) であるなら

愛墨汁 ( あいぼくじゅう ) の 紅 ( べに ) を 知 ( し ) れるだろう
生 ( う ) まれ 永 ( なが ) らえし 咎 ( とが ) の 黒 ( こく ) を
釁 ( ちぬ ) られなば 何 ( いず ) れ 分 ( わ ) くだろう
斂 ( おさ ) む 膠 ( にかわ ) の 数 ( かず ) の 惨 ( むご ) い 勲章 ( くんしょう )

愛 ( あい ) せ 鈍 ( なまくら ) の 切 ( き ) れて 了 ( しま ) えぬを
幾度 ( いくど ) 足蹴 ( あしげ ) にされ 立 ( た ) てまいと
例 ( たと ) え 予 ( われ ) は 此処 ( ここ ) で 果 ( は ) てようと
心 ( うら ) の 悲願 ( ひがん ) たる 遺志 ( いし ) は 揺 ( ゆ ) るぎないのさ

解 ( かい ) せよ 弱冠 ( じゃっかん )   何故 ( なにゆえ ) 振 ( ふ ) るうかを
諸刃 ( もろは ) 膠着 ( こうちゃく ) が 鈍 ( なまくら ) を
故 ( ゆえ ) 君 ( きみ ) へ 何 ( いず ) れ 回 ( めぐ ) るだろう
「 確 ( しか ) と 汝 ( うぬ ) の 志 ( こころざし ) を 担 ( にな ) わん」と 告 ( つ ) ぐ

侘 ( わ ) ぶる 痕 ( あと ) へこそ 艶 ( あで ) やかに 咲 ( さ ) くのさ