93. 溟と水宝玉

英題:Aquamarines under the Unfathomed Ocean

作曲:thus(2018-2022)
編曲:thus(2022)
Music by thus © 2022 thus

歌詞:thus(2018-2022)
Lyrics by thus © 2022 thus

絵:桃melhen桃(2022)
Art by 桃melhen桃 © 2022 桃melhen桃

動画:thus(2022)
―フォント:Rounded-X Mgen+ 1p medium

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【 溟 ( おおうなばら ) と 水宝玉 ( すいほうぎょく ) 】

ゆらゆらゆれゆく 潮騒 ( しおさい ) の 静 ( しず ) かなる 波間 ( なみま ) を 縫 ( ぬ ) って
ふわふわ 漂 ( ただよ ) う 細粒 ( さいりゅう ) の 琥珀色 ( こはくいろ ) を 摂 ( と ) る
幽冥 ( ゆうめい ) の 透目 ( すきめ ) の 藍 ( あい ) へ

その 鮮度 ( せんど ) も 地下 ( ちか ) に 覃 ( の ) びて 如 ( ゆ ) くほど
瞬 ( またた ) けることを 報 ( しら ) すように

大海原 ( おおうなばら ) 溢 ( み ) ち 零 ( お ) ちて  沫 ( しぶき ) 上 ( あ ) げる 水面 ( みなも ) 入 ( い ) り
目映 ( まばゆ ) く 飛 ( と ) び 込 ( こ ) める 水鳥 ( みずとり ) の 群集 ( ぐんしゅう ) をも
そうして 瀛 ( うみ ) を 流 ( なが ) れた 端 ( はし ) で 礑 ( はた ) と 覚 ( さと ) る 湮 ( しず ) みが

硝子色 ( がらすいろ ) の 透明 ( とうめい ) を 鵠 ( しろ ) い 碧 ( あお ) の 太陽 ( たいよう ) に
水越 ( みずご ) し 直接 ( ちょくせつ ) に 深 ( ふか ) く 潜 ( ひそ ) む 珊瑚 ( さんご ) の 手 ( て ) が
生命 ( せいめい ) を 抱 ( いだ ) けていた 太古 ( たいこ ) からの 何世紀 ( なんせいき ) をも
押並 ( おしな ) べ 瀬 ( せ ) を 遠 ( とお ) く 觀 ( み ) ては

ゆらゆらゆらめく 泡沫 ( ほうまつ ) の 不規則 ( ふきそく ) な 狼煙 ( のろし ) が 結 ( ゆ ) って
ふわふわ 漂 ( ただよ ) う 気泡 ( きほう ) が 五体 ( ごたい ) を 撫 ( な ) で 征 ( ゆ ) く
簾 ( すだれ ) を 滑 ( すべ ) る 気孔 ( きこう ) を 感 ( かん ) じ

その 先途 ( せんど ) は 直 ( じか ) に 見 ( み ) えぬ 地脈 ( ちみゃく ) の
湧 ( わ ) き 出 ( で ) る 鉱物 ( こうぶつ ) を 釈 ( と ) かし 昇 ( のぼ ) る

溟 ( おおうなばら ) 宙 ( そら ) の 下 ( した )   音 ( おと ) の 舌 ( ことば ) 飛 ( と ) び 交 ( か ) って
鯨 ( くじら ) の 快哉 ( かいさい ) の 汽笛 ( きてき ) が 亘 ( わた ) る 韻 ( ひびき ) で
群 ( む ) れに 揉 ( も ) まれ 垣間見 ( かいまみ ) た 辯 ( かた ) る 中 ( なか ) に 見 ( み ) えぬ 結 ( むす ) びが

涯 ( みぎわ ) の 没 ( な ) い 暗闇 ( くらやみ ) で 湫 ( ひく ) く 聳 ( そび ) ゆ 胎動 ( たいどう ) に
身躯 ( しんく ) へ 直接 ( ちょくせつ ) と 響 ( ひび ) き 巻 ( ま ) くその 温度 ( おんど ) を
生命 ( せいめい ) と 慈 ( いつく ) しんだ  匯 ( めぐ ) り 廻 ( めぐ ) るその 連鎖 ( れんさ ) を
押並 ( おしな ) べ 瀬 ( せ ) を 夐 ( なが ) くして  流 ( なが ) れていた

水中 ( すいちゅう ) の 美影 ( びえい ) たる 窕 ( ふか ) さに 癡 ( し ) れる 僕 ( ぼく ) は 坐 ( そぞろ ) に ずっと
そうして 底 ( そこ ) の 莫 ( な ) い 曖 ( くら ) さに 祗 ( ただ ) 僕 ( ぼく ) は 淋 ( さび ) しむ
そんな 僕 ( ぼく ) を 宥 ( なだ ) める 唄 ( うた )

我 ( わ ) が 子 ( こ ) を 愛 ( かな ) しむ 罔象 ( みずは ) の 唄 ( うた ) が
藍先途 ( あいせんど ) に 嬰 ( ふ ) れた 琴線 ( きんせん ) と 共 ( とも ) に

溟 ( おおうなばら ) を 流 ( なが ) れて 汐 ( しお ) の 流 ( なが ) れへと 引 ( ひ ) かれて
人魚 ( にんぎょ ) となったように 泳 ( およ ) ぎ 合 ( あ ) った 大群 ( たいぐん ) から
嘉 ( よみ ) 誉 ( ほま ) れた 戴天 ( たいてん ) の 日 ( ひ ) の 光 ( ひかり ) が 射 ( さ ) した 煦 ( めぐ ) みが

洋 ( うみ ) の 底 ( そこ ) で 仰 ( あお ) ぎ 見 ( み ) た 緑青 ( みどりあお ) の 輝 ( かがや ) きが
宛 ( さなが ) ら 大地 ( だいち ) たる 僕 ( ぼく ) の 還 ( かえ ) る 場所 ( ばしょ ) だと
そうして 力 ( ちから ) が 抜 ( ぬ ) けた 安堵腑 ( あんどごころ ) を 浮力 ( ふりょく ) が 引 ( ひ ) き
押並 ( おしな ) べ 瀬 ( せ ) を 早 ( はや ) み 見 ( み ) て 泡 ( あわ ) と 俱 ( とも ) に

溟 ( おおうなばら ) 遠退 ( とおの ) いて  水宝玉 ( すいほうぎょく ) 僕 ( ぼく ) を 矚 ( み ) て
溟 ( くら ) みへ 点 ( てん ) となって 消 ( き ) え 入 ( い ) って 月影 ( つきかげ ) の 身 ( み )
溟 ( おおうなばら ) 瞰降 ( みお ) ろして  水宝玉 ( すいほうぎょく ) 僕 ( ぼく ) を 瞻 ( み ) て
水面 ( みなも ) に 近 ( ちか ) づいて 拡 ( ひろ ) がる 肺胞 ( はいほう ) から

大海原 ( おおうなばら ) 瑞 ( みず ) の 上 ( うえ )   冷 ( ひ ) やし 撫 ( な ) でる 汐風 ( しおかぜ ) が
小 ( ちい ) さな 僕 ( ぼく ) を 手 ( て ) に 乗 ( の ) せるようで 穏 ( おだ ) やかな
大海原 ( おおうなばら ) 瑞 ( みず ) の 上 ( うえ )   澹 ( しず ) かに 鳴 ( な ) る 汐 ( しお ) の 音 ( おと )
夕陽 ( ゆうひ ) が 沈 ( しず ) む 陰 ( かげ ) 深海 ( しんかい ) の 宝玉 ( ほうぎょく ) を 矚 ( み ) た